日本のアニメはジャパニメーションと呼ばれ,その芸術性が高く評価されている.アニメを通じて日本に興味を持ち,日本語の学習やリスニング練習を始める人も多い.我々はリスニング練習の教材としてアニメが利用できる可能性に着目した.1 つのアニメのエピソードの中には 1 つの会話だけでなく,部分会話が多数含まれている.各部分会話に含まれる単語や表現が異なることから,部分会話の難易度も異なると考えられる.本研究ではアニメの会話のスクリプトが与えられると,部分会話へ分割し,それぞれの難易度を自動的に推定する手法を提案する.練習者に適した難易度の部分会話を提供することにより,リスニング練習の支援を図る.評価実験では被験者に事前テストの受験後に,部分会話を視聴することによるリスニング練習をさせ,その後事後テストを受験させた.実験の結果,日本語能力検定試験の難易度が L2 のグループにおいて,単にアニメの部分会話を視聴する群ではテストの正解率の伸びは 10.6% であったが,難易度が推定された部分会話を視聴する群では伸びが 26.4% であり,提案手法の有用性を確認できた.