辻野雄大,山西良典,西原陽子,福本淳一:時系列深層学習に基づく難易度間関係モデルを用いたダンスゲーム譜面難易度の自動調整, 情報処理学会論文誌, 59(11),pp.1953 – 1964, 2018年11月

ダンスゲームは,幅広いユーザから親しまれている代表的な音楽ゲームの1つである.幅広いユーザがダンスゲームを楽しめる環境を用意するためには,初級者でも容易に遊ぶことができる低難易度の譜面を充実させることが必要である.しかし,低難易度の譜面を作成するためには,楽曲の特徴をとらえつつ容易なリズムに調整するという,高難易度譜面の作成にはない課題が存在する.本稿では,ダンスゲームには同じ曲に対して難易度が異なる複数の譜面が存在することに着目し,難易度が高い譜面から得られる音楽的特徴を入力,難易度が低い譜面を出力とする時系列深層学習モデルを構築した.学習させた提案モデルに高難易度のダンス譜面を入力し,低難易度の譜面において指示符を配置すべき発音タイミングを推定させることで,難易度の自動調整を実現した.性能評価の結果,時刻決定タスクにおいて提案手法は0.693のF値が確認され,既存手法のF値をおおよそ1.8倍上回った.向き選択タスクについて指示符の2-gram出現頻度を集計したところ,提案手法の生成譜面とデータセット内の低難易度譜面との相関係数が0.972となり,人手で作成された低難易度のダンス譜面の特性をとらえた譜面を自動生成可能であることが確認された.