西原陽子,高山玲央名,菱田賢祐,山西良典:コマの配置を用いた争点と玉の危険度の評価による将棋初心者の局面把握支援,知能と情報,30(6),pp.796-803, 2018年12月

コンピュータ将棋の躍進や魅力的なプロ棋士に関する報道により将棋に興味を持つ人が増えてきた.将棋対局の中継ではプロ棋士による解説やコンピュータによる評価値などが表示される.解説や評価値には先読みの情報が含まれており,先読みが困難な初心者には現在のコマの配置と対応がつかず,分かりにくいことが多い.現在のコマの配置と対応がつく評価が示されると初心者は局面把握ができ,将棋の内容の理解が進むと考えられる.そこで本研究では,局面把握に重要な争点と玉の危険度を現在のコマの配置から評価することにより,将棋の局面把握を支援する方法を提案する.提案方法で評価した争点と玉の危険度を可視化するインタフェースを作成し,インタフェースを用いて評価実験を行った.インタフェースで将棋を観戦した被験者は,局面把握に関わる発言をより多くし,将棋初心者の局面把握を支援できることが確認された.