・国際会議 『KES 2023 27th International Conference on Knowledge-Based and Intelligent Information & Engineering Systems』でM1の中島楓華さんが発表
活動報告
27th International Conference on Knowledge-Based and Intelligent Information & Engineering Systems
2023年9月6日(水)から9日(土)にギリシャのアテネで開催された 第27回 KES 2023 Internationalで、M1の中島楓華さんが発表しました。
はじめに
山西研究室 M1の中島楓華です。
2023年9月6日(水)から8日(金)にかけてAthens Hotel Royal Olympicで開催された『27th International Conference on Knowledge-Based and Intelligent Information & Engineering Systems(KES2023)』の発表報告をさせていただきます。
2023年9月8日(金)に、私はセッション『IS11: Computational Culture, Arts and Interaction』にて『Do Appearances Represent Personality of Created Characters?』というタイトルで発表しました。
発表内容
今回発表した研究内容につきましては、2023年3月12日(日)と13日(月)に立命館大学 大阪いばらきキャンパスで開催された『第9回コミック工学研究会』での13日(月)のセッション『読者・視聴者の認識分析2』にて『ファンサイト上のキャラクタの外見属性と内面属性の関係性の基礎分析』というタイトルで同研究室 B4の藤本直樹くんと共に発表したものと同様になります。
本研究では、ファンサイト上で登録されたキャラクターの外見属性(ヘアスタイルや服装など)と内面属性(性格など)の関係性について分析しました。人間はキャラクターが描画された画像を見ると、そのキャラクターが「人見知り」そうであったり「熱血」そうであったりといったような推測をすることができます。
このことから、創作キャラクターの外見と内面には何らかの関係性があることが考えられます。
そこで、外見属性を事前条件とした時の内面属性についての条件付き確率・内面属性を事前条件とした時の外見属性についての条件付き確率を算出することで、キャラクターが有する外見属性と内面属性との関係性についての考察を行いました。
分析手法について、本研究ではキャラ属性王国(https://chara-zokusei.jp/ )で登録されている既存の創作キャラクターに対してユーザが付与したタグ(「色白」や「おっとりした」など)をキャラ属性として扱いました。
そして、以下の図のように条件付き確率を算出しました。
なお、本報告記事で掲載する図について、日本語表記のものは『第9回コミック工学研究会』の発表資料の一部であり、英語表記のものは『KES2023』の発表資料の一部となっています。
対象とするキャラクターの外見属性については、色に関するキャラ属性を選定しました。キャラクターデザインにおいて色は重要な役割を果たすと考えられるためです。以下の表が対象の外見属性の一覧です。
その一方で、対象とするキャラクターの内面属性については、エゴグラムで自我状態とされるCritical Parent(CP)・Nurturing Parent(NP)・Adult(A)・Free Child(FC)・Adapted Child(AC)に関するキャラ属性を選定しました。以下の表が対象の内面属性の一覧です。
結果としては、ファンサイト上に登録されたキャラクターのデータ分析を行うことで、創作キャラクターの外見と内面の関係性を客観的に示すことができたといえます。
一部の結果を抜粋して説明します。
上記のグラフは、「髪の色」を事前条件とした時の「元気(active)」「クール(cool)」「落ち着いた(stable)」についての条件付き確率をそれぞれ算出して、それらをもとに作成した確率分布です。
男性キャラ・女性キャラともに、「元気」なキャラクターは、「濃い茶髪・栗色の髪」と「金髪」よりも「黒髪」を有することが少ないと分かります。
このことから、「黒髪」のキャラクターが作中に登場した場合、他の髪色のキャラクターと比較すると「元気」である可能性は低いと考えられます。
感想
『KES2023』での発表は、とても貴重な経験となりました。
『第9回コミック工学研究会』の時は主に質疑応答の対策に注力していました。
その一方で、『KES2023』の時は主に英語での発表練習に時間を割きました。
私の話す英語が聞き手に理解できるものでなければ、そもそも私たちの研究内容が理解されず、質疑応答が発生しないと考えたからです。
その結果、発表後にいくつかの質問をいただくことができたので、練習の甲斐があったことを実感しました。
今回の国際会議での発表を経て、英語を勉強する意欲が湧きました。
発表練習で1番苦戦したところは、英語が得意ではない自分自身では発音・アクセント・イントネーションが正しく話せているかが判断できないことです。
自主練習を重ねても上達しているのかどうかがあまり分からず、あとどのくらい自分自身が発表練習すべきかを正確に把握できないことが大変でした。
しかし、いざ現地へ行くと、英語で一方的に話す能力ではなく、英語でコミュニケーションを取る能力の方が余程必要だと身をもって感じました。
相手の話す英語を聞き取ることができなかったり、聞き取れても英語でどのように返せばよいのか分からなかったりなど、もどかしい出来事が多かったです。
これほどに英語を勉強する必要性を痛感できる体験は日本ではなかなか出来ないと思うので、良い機会になったと思います。
最後となりますが、ご指導いただいた山西良典准教授・共同筆頭著者である藤本直樹くん・データを提供してくださったキャラ属性王国(https://chara-zokusei.jp/ )の執事氏・田崎丈太郎氏をはじめとして協力してくれた同研究室の方々には大変感謝しております。
ありがとうございました。
アテネの街並み
ミトロポリス大聖堂(アテネの中心地・シンタグマ広場から徒歩約10分)
アテネグルメ
text: エンピツ舎