Laboratory of Content-oriented Computational Culture & Arts

関西大学総合情報学部 文化芸術計算機科学研究室

2020年度以降の研究プロジェクト

総合情報学部の学部生がプロジェクトリーダーの研究プロジェクト一覧

音楽を対象とする研究

  • 太鼓の達人の譜面難易度デザインに基づく楽曲中のキータイミングの推定奥村 綾
     映像やコンサートでは,楽曲中の局所的な盛り上がりであるキータイミングに合わせて,エフェクトや会場の照明,花火などの演出が用いられている.本稿では,キータイミングを推定するために,音楽ゲームの一つである「太鼓の達人」の譜面を利用した.音響特徴量を入力として,「太鼓を強く叩く」「連打する」といった特殊な動作を要求する指示符のタイミングや,ある時刻に対して全ての難易度で共通して指示符が存在するタイミングを推定するモデルを構築した.音楽ゲームの指示符のタイミングを、楽曲のキータイミングを推定するための擬似的な学習データとして利用するアイデアの有用性を検討した.
  • 洋楽歌詞とそれに紐づけられた注釈文の内容を複合的に用いた文書分類手法による歌詞解釈対訳コーパスの構築竹元 亨舟
     歌詞の理解をたすけるための情報として,ウェブ上で各ユーザが歌詞のフレーズに対して解説を付与するソーシャルメディアを利用する.アノテーションと歌詞フレーズの対応付けられたコーパスを構築することで自動作詞などの歌詞情報処理の基盤データを構築する.代表的な詩的表現である比喩を含むフレーズを抽出するために,正規表現によるルールの組み合わせで適合率高く比喩表現を言及しているアノテーションを抽出した.
  • 遺伝的アルゴリズムを利用した任意知識獲得支援を目的とした替え歌自動生成田所 拓人
     音楽の中には,音楽の魅力を利用して知識を習得するための歌詞が付与された楽曲が存在する.アルファベットを覚える歌や元素記号を覚える歌など,様々な事例が見られる.本プロジェクトでは,学習対象の重要事項を素材として音楽の歌詞の特性を反映させた教育的歌詞を自動生成する技術の開発を目指す.
  • ギターエフェクターの音響特徴の空間的可視化永田 大志
     エレクトリックギターの演奏では,エフェクターを利用して演奏音を加工することが多い.ギター演奏者はこれらのエフェクターを使い分けて演奏表情付けを行うが,数あるエフェクター間での音響効果と演奏音に対する感性は一般化されていない.本プロジェクトでは,音響効果を可視化することでエフェクター選択の支援を目指す.
  • ノイズキャンセリングは本当に音楽体験を向上させるか?藤本直樹
     最近ではノイズキャンセリング機能がついたイヤフォンやヘッドフォンを用いて音楽のみを聴取するという機会が当たり前になってきました.しかし,雨音や街の喧騒などの環境音は本当に音楽聴取にとって「ノイズ」なのでしょうか?音楽を楽しむための環境の分析を行っています.
  • ボーカロイドとアーティストの歌詞表現の違いに関する分析横井優
     ボーカロイドという新しいアーティストは,これまでの音楽シーンにも影響を与えています.ボーカロイドの登場によってアーティストの音楽にも変化が見られるのか?ボーカロイドとアーティストの楽曲には違いが存在するのかを歌詞の観点から分析しています.
  • ネットワーク構築によるDTMにおける音色選択支援米田美優
     DTM(デスクトップミュージック)において,音色名の情報のみから音色を予想して選択することは容易ではない.音色選択には多くの音色の試聴が求められ,時系列データである音色を複数同時に比較することは困難である.本プロジェクトでは,音色同士の類似性をネットワーク構築により可視化することで音色選択の支援を目指す.

漫画・アニメ・小説・ドラマを対象とする研究

  • 漫画作品の担当スタッフと作者によるTwitterでの広告の言語的特徴の分析青山 千泰
     書店のポップやウェブ上の広告では漫画の面白さを伝えるための様々な漫画広告を見る機会がある.しかしながら,ネタバレを避けつつ,漫画の面白さを伝えて読者を増やすための漫画広告についての知見や一般的なモデルは見当たらない.本プロジェクトでは,愛読者が作成した漫画広告のデータセットや作者,パブリッシャーがそれぞれ広告したソーシャルメディア上でのコメントを分析することで,魅力的な漫画広告の秘密に迫る.
  • ソーシャルメディア上の非構造化画像集合に対するアノテーション作業のゲーム化小川 莉奈
     イラスト描画の楽しみ方には,参考にするイラストを元に自分なりの画風に描き変える「redraw」がある.本プロジェクトでは,このredrawについてのデータセットを構築することで,どのようなイラストが様々な画風で描き変えられるのかを分析すると共に,イラスト中のオブジェクトやレイアウトによらない画風特徴の究明を目指す.一方で,ソーシャルメディア上で投稿された画像は非構造であり,整理されていない.本稿では,整理されていない画像集合を整理する作業を2つのゲームに分けることで,楽しく整理する手法を提案する.データセットを構築するための「検定ゲーム」と作成したデータセットにアノテーションを加えるための「パーティゲーム」の2つに分割した.
  • 作品中の登場キャラクタの多様性の分析と可視化川崎 圭祐
     複数のキャラクタが出現が出現する漫画・アニメ・ゲームなどの作品では,それぞれのキャラクターのプロファイルに重複がないようにデザインされている事が多い.登場キャラクタ間でのプロファイルデザインの多様性は,作品の魅力の一つにもなり得る.本プロジェクトでは,作品中の登場キャラクタの多様性を分析・可視化するとともに,キャラクターデザインの補助になり得る知見の究明を目指す.
  • 演技音声の音響特徴量とコンテキストとの関係の推定 ー言葉の意味とコンテキストに着目して−清野 陽平
     声優の演技では,感情のみならず,距離感や人間関係など複雑なコンテキストを音声のみで伝達している.本プロジェクトでは,ウェブ上で共有される音声エンタテインメントで楽しまれた様々なコンテキストに応じた演技音声を対象とした分析を行うことで複雑なコンテキストに対応した音声特徴量の解明を目指す.
  • キャラクターの顔パーツの位置バランスとキャラクターの属性の対応付け中島 楓華
     漫画やアニメのキャラクターの顔は,ひと目見ただけでそのプロファイルが推測可能にデフォルメされて描かれている事が多い.言い換えれば,キャラクターのプロファイルは,キャラクターの顔を構成するパーツ反映されて描画されているとも考えられる.本プロジェクトでは,未だ暗黙知である顔の描き方とキャラクターのプロファイルの関係を明らかにする.
  • 漫画中の各コマに対する意味・感性アノテーションデータセットの構築 −ラフ<>アノテーションの可逆性に着目して−平田 優実
     漫画では,各コマに表現されたコンテキストや印象などに影響を受けて,効果線や文字フォントなどのデザインが変わっている.本プロジェクトでは,人が漫画を読む時に漫画のコマからどのような意味的・感性的な情報を認知しているのかをアノテーションしたデータセットを構築し,これらと漫画表現との関係を探る.
  • 漫画・アニメにおけるキャラクターの話し方と性格の関係性分析南出瞭馬
     キャラクターの発話に着目し,漫画やアニメ内のキャラクターの性格と喋り方の関係を分析しています.日本語独特の表現である単語の音変化の特徴をもとに,セリフをどのように話すのかをモデル化して性格との対応付を行っています.
  • 関西大学に生息するクマはひょんなことから要約の研究をする諸隈直志
     小説や漫画のあらすじを「ひょんなことから」でマスキングし,読者の興味を惹くことを企図したキャッチフレーズ生成手法を提案する.物語が増加する中,作家にとって魅力的なキャッチフレーズの作成は重要かつ困難な課題である.情報の一部を「ひょんなことから」でマスキングすることで,読者は欠けた情報を想像し,興味を喚起されると考えた.生成結果を分析することで,一部の情報を意図的に隠蔽することによるエンターテインメント性の向上を検証する.
  • 配役傾向にもとづく声優ネットワークの構築と分析牧野純之介
     配役傾向に基づく類似声優ネットワークを構築し,声優の個性や関係性を分析する.声優の演技音声はアニメ評価において大きな影響を与える一方,声優とキャラクタの印象は制作側や視聴者によって主観的に評価される事が多い.提案手法では,キャラクタがもつ感性情報である「キャラ属性」と声優の配役歴に基づいて類似声優ネットワークを構築し,配役の類似性や声優のクラスタを分析する.この分析により演技傾向の分類や配役の妥当性の検討につながる事が期待される.
  • 文末の情報秘匿による物語コンテンツへの導入文生成川上輝
     コミックや小説の文庫本の裏表紙には,その物語を端的に紹介しつつ,読み手の興味を惹くような文章が掲載されている.本研究ではこれらを物語コンテンツへの「導入文」と定義し,その自動生成を目指す.物語コンテンツはその特性上,その内容の提示に特有の困難が生じる.提示する情報が不足していれば,自分の興味に沿うかどうかを判断することすらできず,多すぎればかえって興味を削いでしまいかねない(「ネタバレ」).読み手の興味を最大化するためには,物語の何をどのように伝えればよいのかが課題となる.翻っていえば,物語の内容のうちどの情報をどのように隠匿(マスキング)すればよいのかが課題となる.本研究では,特に文末の情報秘匿に着目した.既存の「導入文」でどのように情報が隠匿されているのかを定量的・定性的に分析したのち,その結果を用いてあらすじ文の文末にマスキング処理を施すことで「導入文」の自動生成を目指す.

ゲーム・遊びを対象とする研究

  • スポーツゲームのデータ分析によるスポーツ動作のモデル化江崎 嘉惟
     スポーツ観戦を楽しむためには,ルールの理解と共にスポーツ中の動作の識別や意味を理解する必要がある.しかしながら,比較的マイナーなスポーツでは,競技映像データを十分に確保できない問題がある.本プロジェクトでは,スポーツ動作をゲーム中のフォームデータを対象として分析することで,人間がスポーツ動作と認知する身体の動きをモデル化する.
  • ゲーム中の異言語コミュニケーションにおけるライブチャットの分析田崎 丈太郎
     インターネットを介した共同プレイが可能になったことで,ゲームプレイ中に異言語・異文化圏のプレイヤーと一緒にゲームを楽しむ機会が増えてきた.ゲーム中の専門用語や省略語はゲームの特性に特化して各言語で自然発生的に生まれるため,一般的な機械翻訳では対応できない.本プロジェクトでは,ゲーム中で用いられるコミュニケーションの分析を行い,ゲーム時の異言語コミュニケーションの円滑化を目指す.
  • 多人数対戦ゲームのプレイ動画の編集支援インタフェースの開発福井 拓真
     インターネットを介して多人数で行う対戦ゲームでは,複数のプレイヤーがそれぞれの画面で1試合をプレイしている.e-spotsとして見た場合には同一の試合として1動画にまとめてみたいというニーズはあるものの,各プレイヤにとっての重要箇所と試合としての重要箇所は異なる可能性がある.本プロジェクトでは,これらの多人数対戦ゲームの特性を踏まえた動画編集支援インタフェースを開発する.
  • カードゲームにおける「切り札」への経路可視化によるゲーム理解の促進松下真之介
     トレーディングカードゲームは,カードの種類が増え続け,それに応じてゲームが逐次変化するゲームと言えます.このようなゲームを初心者が始める場合や観戦する場合に,ゲーム中の「切り札」までの手順を可視化することでゲーム状況の理解促進を目指しています.遊戯王に,俺はなるっ!
  • 2D対戦格闘ゲームにおけるプレイヤと観戦者の視線パターンの比較分析渡辺爽斗
     e-sports は急速に発展しており,その中で対戦格闘ゲームは世界大会が開かれるほど人気のジャンルになっている.パフォーマンスやストリーミングなどの影響でプレイヤに焦点があてられることが多く,観戦者に焦点をあてられることが少ない.そこで,観戦者に焦点をあて,プレイヤと観戦者の視線移動を比較する.それによって,視線の違いを明らかにし,観戦者がより楽しめるゲーム画面のデザインを考える.
  • 情報学的アプローチによるマジックの手順構成支援武内謙晴
     これまで,マジックのパフォーマーであるマジシャンは既存の知識や技術を参照/応用して,新しいマジックの手順の構成,再構成を行ってきた.しかし,マジックの手順に構成を行うことは,容易ではない.本研究では,1) 時間推移に応じて,マジシャンの操作と観客の心理状態が遷移する,2) 論理的矛盾が生じないマジシャンの操作により,観客に論理的矛盾を感じさせるというコンテンツ特性に着目した.マジックは観客の心理状態の遷移を創り出すためのマジシャンの行動をノードとした経路探索問題として定義できる.マジックを,観客とマジシャンそれぞれの系列の状況遷移によって整理することで,各行動および手順構成の支援の可能性を模索する.

インタラクションを対象とする研究

  • スポーツ実況投稿における観戦者の属性分析小森田 周優
     スポーツ観戦時に,SNS上で試合状況を実況しながら楽しまれることが増えてきた.実況投稿のなかには,スポーツの経験者や深く理解した視聴者の意見もある一方で,未経験者や初学者の意見も多く存在する.本プロジェクトでは,実況投稿の中からスポーツ経験者や観戦熟達者の意見を抽出し,スポーツ観戦時の重要な観点の抽出を目指す.
  • 飲食店のレビュー類似性を用いた直感的な飲食店検索溝端 華歩
     飲食店の検索においては,飲食ジャンルや飲食店の場所などをクエリとした検索サービスが利用されることが多い.しかしながら,自分自身の飲食店に対する感性を言語化することは難しいだけでなく,好みの料理や店舗の雰囲気を明確に指定した検索は煩雑な操作になってしまう.本プロジェクトでは,飲食店レビューを活用して,飲食店で飲食店を探すという新しい飲食店検索サービスを開発する.
  • 「あまり食材」を出さない1週間の献立作成のための訓練システム井上陸玖
     身近にできる食品ロス軽減のためのアプローチとして,あまり食材が出ない買い物をできるようになるための訓練システムの開発をしています.複数のレシピで共有する食材をうまく調整して使える1週間の献立を考えられるように目指しています.
  • 映画・ドラマのジャンルとシーンに応じた英単語の用法検索北畑由莉香
     エンタテインメントを通して学ぶというエデュテイメントの研究をしています.特に,映画やドラマなどを通して英語学習を行うことに着目しており,日常会話では当たり前に使うのに,教科書には出てこない言葉をコンテクストと共に学べるしくみを構築しています.
  • ウェブ上のエンタテインメントへの不満コメントからの有益情報の抽出平尾七虹
     様々なエンタテインメントに関するウェブ上でのやりとりは,双方向な楽しみ方ができるようになりました.チャットの中には,一見するとネガティブな不満の中に今後の改善に期待できる「良い不満」が埋もれている可能性があります.これらの不満からの改善点の抽出を目指しています.
  • VTuberのモデリングに関する研究松本桃花
     自然な動きのVTuberのモデリングについて調査しています.VTuberのモデル作成におけるパート分割数の違いによってVTuberコンテンツがもつ人間らしさとアニメらしさが共存する特性を表現可能であるかについてを比較検討しました.
  • オノマトパーティ:質感画像とオノマトペのアノテーションゲーム佐々木誠ニコラス
     質感画像にオノマトペを対応づけるアノテーションゲーム,オノマトパーティを提案する.オノマトペは質感を容易に表現できる手段であるものの,質感とオノマトペの対応関係に複数人での共通理解を得られることは難しい.提案手法では質感画像に対して,1)どのようなオノマトペが,2)どのような理由によって付与されたのかをゲームを通して収集することで,データ収集とプレイヤ間での意思疎通の実現をねらう.一般的なアンケートフォームと提案ゲームで収集されるオノマトペの個数や言語的特徴を分析した.
  • 「ずっと俺のターン」は嫌!納得できる旅行計画のための集団コミュニケーションのゲーム化床田将一朗
     参加者全員が満足する旅行計画を立てることは困難である.人にはそれぞれ価値観や嗜好に違いがあり,旅行に対する参加者が増えれば増えるほど全体の意見を統合することが難しくなる.そこで既存のコミュニケーションに加え,個人の考えや旅行計画全体の動きを視覚的に整理可能にすることでゲーム化した.これにより,まとめ役と参加者で認識の齟齬を解消し,旅行計画に対する納得感が高まり,旅行中の不満や誤解を防ぐことをねらう.

他研究室との共同研究

この他,他の研究者とも共同で以下のような研究課題にも取り組んでいます.

  • Dance Dance Solution – 音楽ゲームにおけるプレイヤ属性に応じたプレイ動作の自動推定
  • 漫画のトランスメディア化における情報変換の分析
  • 作画アニメの特徴分析と数理モデル化
  • 漫画のストーリーラインの分析と応用

外部競争的資金による研究プロジェクト

2020以降にに外部競争的資金を獲得して実施していた研究課題は以下のとおりです.上記で紹介した研究プロジェクトも,一部,これらの外部競争的資金の支援を受けて実施しています.

  • 登場人物に着目したストーリー分析と可視化(研究分担)
  • 漫画作品間の相対的な関係性をモデル化するための本棚システムの開発(研究代表)
  • 様々な障壁を超えた異言語コミュニケーションに関する研究(研究分担)
  • 電子書籍における読書状況に応じたストーリー情報呈示システムの開発 (研究代表)
  • 漫画・アニメの「創り方」と「楽しみ方」のアーカイブのためのコンテンツ処理技術の開発 (研究代表)
  • 機械学習における事前学習モデル構築のための既存データセットの応用フレームワーク(研究代表)
  • 食の嗜好性の探知アルゴリズムおよび嗜好性に基づく食推薦アルゴリズムの開発(研究代表)
  • ネットいじめの防止を目的とした子どもの情報モラルの獲得を支援するシステム (研究分担)
  • 理学療法士の臨床推論技能向上を目的とした知識共有基盤の構築に関する研究 (研究分担)

この他,スマートフォン用音楽ゲーム開発企業や,社会人教育のためのオンライン教材開発企業,声優養成所等とも共同研究や協同の打ち合わせをしています.

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