はじめに
修士1年生の米田美優です.2025年8月21~22日に東京ビッグサイト 西展示棟 西4ホールで行われた,大学見本市2025~イノベーション・ジャパンの参加報告をします.
「音色が視える音楽制作インタフェース」というタイトルで,2025年修了生の永田大志と修士1年生の米田美優の研究について発表しました.関連特許は以下の通りです.
山西良典,永田大志:音を含むコンテンツの制作システム、コンピュータ実装方法、及びコンピュータプログラム,特願2024-118433,2024年7月24日[https://ccca-lab.net/3850]
山西良典,米田美優:システム、方法、及び、コンピュータプログラム,特願2025-72652,2025年4月24日 [https://ccca-lab.net/4460]
技術概要
紹介技術は主に2種類あります.
一つ目は,音楽の音色に対応する吹き出し形状を自動生成・可視化する手法です.音響特徴量と図形的特徴(棘の数、角度等)を学習したモデルにより、音色の印象を視覚的に表現します。さらに、ユーザは吹き出し形状を自身の感性に応じて調整でき、個別の音色イメージを反映可能です。従来のテキスト主体表示に対して、音色の記憶・検索・共有の直感性に優れます.
二つ目は,ネットワークグラフにより音色同士の関係性を可視化する手法です.音色を細分化した特徴量解析と解析結果を基にしたネットワークの構築による可視化により音色の相対的な比較を可能にし,音色探索の支援を目指します.提案システムでは,クラスタリングによる可視化やノードの大きさを変更することによるブックマーク機能によって,新しい音色の発見と効率的な音色の探索を狙いました.
実施内容
当日は,音色に対応する吹き出し形状付与システム及び音色ネットワークグラフのデモ展示を行いました. デモの概要は以下の通りです.


図1:付与する吹き出し図形の例

図2:吹き出し図形を反映したネットワークグラフ
吹き出し形状付与システムでは,特定の音色に対して図形のパラメータを操作して吹き出し形状を作成します.パラメータの種類は以下の通りです.
- 「トゲトゲ図形」か「ふわふわ図形」
- 棘の数
- 棘の長さ(尖度)
- 図形の色
- 図形の色の濃さ
これらのパラメータを操作して図1のような図形を作成します.いくつかの音色に図形を付与すると,図2のような吹き出し形状が反映されたネットワークグラフが提示されます.
このシステムを用いて,音情報の可視化に取り組むことにより,音情報に対して抱いた印象の記録や他者との共有が可能であると考えられます.
おわりに
イノベーション・ジャパンでは,業種や業界の垣根を越えて多くの方々と,自身の研究アイデアの活用方法について議論する貴重な機会をいただきました.本イベントでの経験は,研究の産業・社会への応用を考える上で,大変有意義なきっかけとなりました.ご関係者の皆様に心より御礼申し上げます.