第71回 情報処理学会エンタテインメントコンピューティング研究会 研究発表会での研究発表報告

はじめに

 山西研究室M1の小川です。2024年3月17日〜19日に開催された第71回 情報処理学会エンタテインメントコンピューティング研究会 研究発表会での研究発表についてご報告いたします。発表タイトルは、「非構造データセットのリンク関係構築のためのアノテーションゲームの試作」です。

発表内容

 研究背景として、利用を考えているデータセットが利用目的に合った構造データセットの形になっているとは限らないという問題があります。本稿で扱ったアニメ作画素材データセットも構造データでありながらも、非構造データとも捉えられます.検索を利用目的とした場合、データセット内のリンクが不足しているからです。

非構造データを利用目的に沿った構造データセットにするためには、リンクの追加、アノテーションが必要です.アノテーションの方法には、自動で行う機械処理がありますが、付与したいリンクの種類によっては、人間の判断力を用いた方が容易なこともあります.人手によるアノテーション作業は人的・心的コストが高くなるという課題が発生します.

 本稿では、人手によるアノテーション作業をゲーム化しました.ゲームの結果をアノテーションに利用して、データセットの再構造化を行います.アノテータにはゲーム体験を提供することで、ゲームをする感覚でアノテーション作業をしてもらいます.データ収集者はゲームに入力するデータセットとゲーム設定を決定することで、アノテーションデータを手に入れられます.既に構造データとなっているデータセットでも、整理ができていない非構造データセット​も入力可能です.

 試作したアノテーションゲームは、ゲームルールが共通のアナログゲームからデジタルゲームに実装したものになっています。デジタル化した際に、1)アナログゲームのゲーム性が有用と考えられるものの再現、2)デジタル化によってゲームの体験やアノテーション作業の向上のためにアナログゲームとは異なる実装を行いました。1に関しては、デジタル化しても変更しなかった「直接の移植」とルール上にある動作をアナログゲームとは異なる表現でデジタル化した「置き換え」として実装しました。例として、置き換えでは、プレイヤによるカード(データ)の選択方法です。

2では、アナログゲームでは必要がなかったものの、デジタル化では必要になった機能を「追加」として実装しました。例としては、カウントダウンとタイマーの実装です。また、アナログゲームの仕様を無くして、デジタルの利点を活かすために、「排除」の実装を施しました。

感想

 18日の発表する会場は、前日の会場とは異なり、より広い会場でした。また、その日のトップバッターのため、緊張しました。緊張していたものの、このスピードでは、発表時間より短くなると思い、アドリブを入れましたが、それでも短い発表時間になってしまいました。また、18日は、EC研究会の20周年記念イベントがあり、EC研究会の歴史を知りました。