山西良典です.2024年9月30日から10月3日までブラジルのマナウスで実施されたIFIP ICEC2024に,IFIP TC14日本代表として視察,参加してきました.地球の裏側での開催ということもあり,たどり着くまでや現地でも様々な体験をしましたが,ここでは国際会議の様子や運営会議の様子などに絞って報告をいたします.
開催前日:TC14 Networking Excursion
9月29日には,すでに現地に到着済であったTC14のメンバーと会議への招待講演者との交流エクスカーションが開催されました.昼食とともに,本年度の会議の流れや併催されているイベントについて,現地での過ごし方の注意点などについても説明がありました.
初日:Tutorial & Workshop day
今年のIFIP ICEC2024は,SBGAMES,SVR,SIBGRAPIといったブラジルのCGやVR,Gameに関する会議と併催されていました.会場はUEAというAmazon州立大学のキャンパスで実施されましたが,キャンパス全体が国際会議一色になっていました.
この日はTutorial 5件,Workshop4件が実施されました.また,Workshopは2日目にメイントラックと並行しても2件実施されました.1件のWSあたりの参加者は10名〜20名程度でした.
また,この日からコーヒーブレイクが用意されていました.ちょっと人数の割に,コーヒーブレイク会場が小さかった印象.特に,コーヒーポットが2つしか用意されれおらず,長蛇の列・・・.
2日目:Main track, Workshop, Doctoral Consortium, Excursion
2日目からメイントラックが始まりました.この日は,僕も座長を務めました.この日の会議はWS2つとメイントラックがパラレルで開催されたため,メイントラックへの参加者は1部屋あたりの人数は20人程度でした.
Doctoral Consortiumは1名でありましたが,Ph.D.のDefenseに向けて博士課程に在籍する学生がプレゼンテーションを実施し,その研究自体やプレゼンテーションについて,TC14のメンバーを中心に様々な観点から質疑が実施されました.分野全体で博士を育てるという様子が見て取れました.
また,この日のKeynotesの前座として,2025年に日本で開催されるIFIP ICEC2025のプロモーション動画を上映し,次年度の開催に向けての論文募集を実施いたしました.動画の最初の「ブラジルの人聞こえますか?」のタイミングで何故か動画が止まってしまうというハプニングで会場の大笑いを誘ったLocal Chairの北原先生の様子.このネタは世界共通らしい.
会議終了後には,併催されている会議の参加者とともにExcursionへ.Amazon州の歴史的建造物であるオペラハウスにて,Entertainmentに関わるオーケストラの鑑賞でした.オーケストラ演奏のクライマックスでは,日本のアニメ聖闘士星矢,ドラゴンボールの主題歌,そして,スーパーマリオブラザーズのBGMが演奏されました.特に,アニメソングの演奏では,ブラジルの参加者がポルトガル語バージョンの大合唱が起き,最後にはスタンディングオベーションとなりました.日本のエンタテインメントコンテンツの力を感じさせます.
3日目:Student Game Competition & Interactive Work, Main Track, Gala Dinner
この日は,最初にStudent Game Competitionが開催されました.残念ながら,ICEC自体への投稿は,Student Game Competition 1件やInteractive work 1件と投稿が少なく,併催会議のゲーム展示と同会場で実施されることになりました.
日本のEC研究会とは異なりゲームとしての出典が多く,様々な体験型コンテンツのエンカレッジや評価の仕組みが国際的にも必要であるということを実感しました.これは, ECシンポジウムで2023年から始まったレコメンデモのようなしくみを国際標準化し,コンテンツだけでなく,楽しんだ体験そのものをアーカイブしていく必要があることを実感させました.
この日の夜は,また併催会議と一緒にGala Dinnerへ.このGala Dinnerもマナウスの観光名所となっている建造物で実施されました.爆音でのアマゾン風ダンスショーと,それに合わせて踊りだす現地参加者というブラジルに対してもっていた自分のステレオタイプの典型例の様子も見られました.
4日目:Main Track, TC14 Meeting, Closing, TC14 Dinner
4日目はメイントラックに並行して,ハイブリッド形式でTC14のMeetingが実施されました.本来は,会議終了後に実施するものらしいのですが,今年はどうしても部屋の都合がつかずメイントラックとパラレルでの実施となりました.これは,Meetingに参加できないTC14の代表や,メイントラック自体への参加者の減少を招くため2025年は避けるべき事項と考えられます.
TC14 Meetingでは,定例会議としての各Working groupからの報告のほか,ICEC2024の会議についての報告がありました.2024年は全体では,参加者数が54名,投稿数52件,採択数32件(採択率62%)となりました.このうち,28件はJournal Trackへの投稿でここで採択された論文はElsevierのENTERTAINMENT COMPUTING誌に掲載されます.ただし,この数字にはInteractive work等の数値は含まれていません.
また,ここではメインの議題として,2025年の東京で開催されるICEC2025についての準備状況を報告しました.IPSJ ECとの連続開催やIPSJとIFIPでの共催が正式に確認された他,投稿締め切り等の重要日程の確認が行われました.特に,Journal Trackの扱いについては議論が必要であったため,このMeetingの準備のために,本年度のProgram ChairsであるAngeloとPablo,そしてTC14会長のEstebanとの5時間以上にもわたる会議を通して臨みました.基本的な日程などについては了承が得られ,2025年8月末に向けて,2024年10月中からの準備活動開始を決定しました.
ただし,ここでは,IFIP側の委員が決められず,このあとの昼食ならびに夕食の会場で直接,個人にお願いしてアサインを行いました.会議の場で決まることは少なく,その会議での話をもとに,個人的なやり取りの中で様々な情報が出てきたり,決定がされていくといったコミュニケーションが主流となっているようです.
また,この日はClosingで,会議の各トラックへのAwardの授賞式の他,IFIP TC14の立ち上げ,国際論文誌Entertainment Computingの創設に尽力された中津良平先生へのIFIP功労賞の授与式も実施されました.中津先生は別件でニューヨーク(USA)にいらっしゃったため,ビデオでの参加となりました.
参加者集合写真
参加者の集合写真では,東京での開催を楽しみにして,ドラゴンボールの「元気玉」のポーズ!